公務員は、高校生のなりたい職業ランキングが毎年上位に挙がる職業となります。
このページでは、知っておきたい地方公務員の知識や、地方公務員になるためには、地方公務員になるための良くある質問集をご紹介していきます。
知っておきたい地方公務員の知識
地方公務員になるために、以下のことは最低限知っておきましょう。
そもそも地方公務員とは?
地方公務員とは、都道府県や市区町村、一部事務組合等に所属する公務員の総称です。
一般的に地方公務員には、行政業務、事務業務、教育業務などがあり、地方自治体において、
- 政策の策定・実施
- 公共サービスの提供
- 法令の遵守と運用
- 記録管理や文書作成
- 問題解決と対応
- 事業計画の策定や予算の管理
- 公共施設や設備の維持管理
等の様々な業務を担当し、地元の課題解決や地域社会のサービス提供などに従事します。
地方公務員は、一般企業と比較し、景気に左右されない安定した仕事内容と給与、福利厚生などの充実した待遇が特長だと言えます。
地方公務員の特別職と一般職の違い
地方公務員は「特別職」と「一般職」に区分することができ、違いとしては以下の通りです。
特別職 | 地方公務員法は原則として適用されない 地方自治法、公職選挙法等各法律において個別に規定 |
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一般職 | 地方公務員法が適用される |
特別職は知事・市町村長・議員等となり、それ以外が一般職となります。
参照:総務省
地方公務員の職種について
地方公務員の職種は、大きく分けて以下の6つに分けることが可能です。
行政職 | 総合職、行政事務、学校事務など |
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技術職 | 土木、建築、電気、機械、IT系、環境等 |
福祉職 | 社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理士、臨床心理士、手話通訳士など |
心理職 | 公認心理士、臨床心理士など |
公安職 | 警察官、消防官など |
資格免許職 | 医師(歯科医師)、獣医師、看護師(正・准)、保健師、保育士、栄養士、学芸員、児童相談員、社会福祉主事 |
その他、市立、県立学校の教師(教職)などもあります。
以下は、総務省が出している地方公務員の部門別職員数です。
一般的に高校・短大・大学に通っており、地方公務員を目指す場合は、行政職や、教職、技術職、公安職などが多く、資格や免許を取得する大学であれば、資格免許職が多いと言えるでしょう。
地方公務員の人数は280万3,664人
地方公務員の人数は、2022年4月1日時点で、280万3,664人となっております。
前年と比較し、新型コロナウイルス感染症対策や児童相談所の体制強化で3,003人増加しています。
国家公務員が約58万人のため、公務員全体の約82%が地方公務員となります。
地方公務員の平均年収は約620万円
2022年度(令和4年)の地方公務員 一般行政職の平均給与月額は401,372円、平均賞与(期末手当・勤勉手当)は1,386,409円、平均年収は6,202,873円となっております。
また、平均年齢は41.8歳です。
さらに詳しくは、「地方公務員の平均年収・月収について(2022年度・令和4年版)」を確認しておきましょう。
正規職員以外の地方公務員も存在する
公務員試験を受けて採用される正規職員以外にも、地方公務員として働いている職員が存在し、以下の雇用形態となります。
会計年度任用職員 | 自治体の繁忙期や職員に欠員が生じた際等に、正規職員の補助として一会計年度内を任期として任用される非常勤の公務員を指します。地方公務員法が適用される一般職の地方公務員となります。 |
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任期付職員 | 地方分権の進展に伴い、多様な任用・勤務形態を活用できるようにするため、専門的知識、経験が必要となる場合や市民サービスの提供体制を充実させる場合、部分休業を取得する職員の業務の代替などの場合に即戦力として任用する制度となります。任期付職員の身分は「地方公務員」となります。 |
興味がある方は、「地方公務員の任期付職員とは?」や「会計年度任用職員とは?」を確認してみてください。
地方公務員になるには
地方公務員になるためには、希望の都道府県や市区町村にて、地方公務員試験(上級・中級・初級)の1次試験を受け合格し、合格者のみが2次試験以降を受け、最終合格した場合に、採用面接を経て採用され、地方公務員として働くことが可能です。
地方自治体によって、毎年定期的に採用する場合もあれば、欠員が出て急遽採用試験を行う場合もあり、様々です。
地方公務員の一般的な募集時期
各自治体の地方公務員募集や試験日程は以下が一般的です。(大卒程度の試験難易度の「上級」と、高卒程度の試験難易度の「初級」では、毎年日程が異なるため注意しましょう。)
募集時期 | 上級:3月~4月頃にかけて |
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初級:8月~9月頃 | |
1次試験 | 上級:5月~7月頃にかけて |
初級:9月以降 | |
2次試験 | 上級:7月中旬以降 |
初級:10月以降 | |
最終合格(内定) | 上級:10月以降 |
初級:10月以降 |
自治体によって募集時期、試験日、最終合格日などが大きく異なるため注意しましょう。
出願時期に応募できなかった方も、諦めずに「公務員試験・求人情報サイト 公務in」で探してみましょう。
地方公務員の受験要件
地方公務員の受験要件は各自治体や職種などによって異なりますが、年齢制限を確認すると良いでしょう。
年齢制限の他に、資格・免許が必要な場合や、社会人経験が必要な場合など様々です。
年齢制限も各自治体や職種により様々であり、行政職などでは27歳~35歳までを要件に入れている場合が多いです。
また、資格免許職や専門職などは、59歳までを上限にしている場合もあります。
地方公務員になれない方地方公務員になれない方
地方公務員法第16条に規定する欠格条件に該当する場合は、受験資格がありません。
- 成年被後見人又は被保佐人(準禁治産者を含む) 成年被後見人:(精神上の障害により判断能力を欠くとして、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた人) 被保佐人:(精神上の障害により判断能力が不十分であるとして、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた人。)
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
- 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
- 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、地方公務員法に規定する罪を犯し刑に処せられた者
- 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
以上のものが該当します。
地方自治体や職種によっては国籍の制限を設けている場合もあるため、注意しましょう。
地方公務員試験の上級・中級・初級の区分
地方公務員試験は「上級・中級・初級」の試験問題の難易度によって以下のように区分されています。
初級(地方上級) | 高卒程度の学力 |
---|---|
中級(地方中級) | 短大卒程度の学力 |
上級(地方上級) | 大卒程度の学力 |
難易度の区分のため、「大学卒業者が、初級試験」「高校卒業者が上級試験」を受けることも可能で、学歴は関係ありません。また、上級・中級・初級の呼び方は、「大卒程度」と記載している場合や「Ⅰ類」と記載している場合もあります。
ただし、自治体によって「大学卒業・大学卒業見込み者」と限定している場合もあるため、注意しましょう。
一般的には、自身の最終学歴を元に、選択する場合がほとんどです。
地方公務員1次試験の教養試験と専門試験
地方公務員試験の1次試験は、教養試験(教養科目・基礎能力試験)と専門試験(専門科目)に分けられ、以下のような違いがあります。
- 教養試験:通常の試験形式(選択式問題、記述式問題、英語式問題など)
- 専門試験:地方公務員としての業務に必要な専門的な知識や能力を評価する試験
(質問形式や筆記形式、実技試験など)
教養試験 (教養科目) |
一般知能分野 ・数的処理(判断推理、数的推理、資料解釈) ・文章理解(現代文、英文) |
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一般知識分野 ・社会科学(現代社会、政治経済) ・人文科学(日本史、世界史、地理) ・自然科学(化学、生物) |
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専門試験 (専門科目) |
法律系科目 |
経済系科目 | |
行政系科目 | |
商業系科目 | |
その他の科目(心理学・教育学・数学・物理・土木・建築・化学・農学など) |
教養試験については、どの自治体でも同じような出題になりますが、自治体特融の問題が出される場合もあるため、注意が必要です。
専門試験については、受ける職種等によって、試験内容が異なりますので注意しましょう。また、専門試験の場合は、上級(大学卒程度の学力)が必要となります。
受ける自治体のホームページから、過去の試験内容を確認するか、「公務員試験・求人情報サイト 公務in」で過去の試験内容を検索しておきましょう。
地方公務員2次試験
地方公務員試験の2次試験は、1次試験の合格者のみが受けることが可能となります。
多くの自治体の場合、2次試験の試験内容は以下の通りです。
- 面接試験(人柄やコミュニケーション能力)
- 論作文試験(自分の意見や考えを論述式で回答する試験)
面接試験は、個人面接の場合やグループ面接の場合など様々であり、1次試験と2次試験は別日に行われることが一般的です。(同時に行われる場合もあります。)
2次試験合格者は「最終合格者」となります。(3次試験、4次試験がある場合は、その試験合格者が最終合格者となります。)
最終面接・採用面接
地方の自治体や、市役所等に勤務する場合、採用面接・最終面接が行われる場合があります。(各地方自治体によって異なります。)
採用面接や最終面接は、確認のための面談である場合もあれば、市長や副市長が同席する場合もあるため、注意が必要です。
質問形式の面接となる場合が多く、2次試験の面接で聞かれた内容を把握しながら、志望動機や自己PR、行いたい仕事、逆質問なども準備しておきましょう。
最終合格すると地方公務員として任用される
地方公務員試験の最終合格者は、翌年の4月1日に採用され、地方公務員となります。
ただし、中途採用や本人の希望がある場合などは、採用日を調整することが可能な場合もあります。
地方公務員になるための良くある質問集
地方公務員になるために、良くある質問をまとめています。
地方公務員には、どんな人に向いていますか?
地方公務員は地元の課題解決や地域社会のサービス提供などに従事するため、
- 社会貢献に関心がある方
- 真面目で誠実な性格な方
- 地域や市民の福祉に関心がある方
- コミュニケーションスキルが優れている方
- 組織や行政業務に興味がある方
以上の方が一般的には向いていると言えるでしょう。
景気に左右されない安定した給与、福利厚生も魅力ですが、仕事内容にも目を向けて考えてみると良いでしょう。
地方公務員試験の勉強時間はどれぐらい必要ですか?
地方公務員試験の勉強時間は、個人の能力や学習スタイル、試験の難易度などによって大きく異なるため、一概に数値を示すことはできません。
ただし、一般的に800時間が目安となり、地方上級試験の場合は1,000時間が目安と言われています。
試験に合格するためには十分な勉強時間が大切だと言えるでしょう。
地方公務員試験の勉強はいつ頃から始めますか?
大学生であれば、大学3年生の夏季休暇頃までに始める方が多いようです。また、公務員試験対策予備校等を活用する場合、1年間かけて対策を行うカリキュラムが多いでしょう。
ただし、中途採用や社会人採用の場合は、試験内容も違い、勉強時間の目安も大きく異なり、2ヶ月~4ヶ月間の勉強で、公務員試験を合格する場合も多いです。
地方公務員になりやすい大学の学部はあるの?
一般的に、採用数が多い行政関係の学部が有利だと言われており、社会学、政治学、経済学、法学などの政治学系学部が地方公務員になりやすい学部だと言えるでしょう。
しかし、特定の専門分野に関連する学部に限定する場合もあり、地方公務員になりやすい有利な学部は、具体的には設定されていません。
そのため、自身の専門分野の希望などがある場合は、あえて学部・学科を変更する必要はないでしょう。
地方公務員になるための年齢制限は?
地方公務員になるための年齢制限は、職種や各自治体によって異なりますが、30歳~35歳までが多いと言えるでしょう。(自治体によっては27歳までの場合や、年齢制限の緩和で35歳までが上限の場合もあります。)
ただし、資格免許職や特定の専門分野、又は社会人経験が必要場合や中途採用の場合は、年齢制限も59歳(定年年齢 原則60歳)を上限として募集している場合もあります。
そのため、年齢制限で諦めることなく、地方公務員の各自治体の募集要項を確認しましょう。
地方公務員になるために資格や経験は必要ですか?
地方公務員は職種や募集内容によって、資格や経験が必ずしも必要とは限りません。
例えば、資格免許職や心理職、福祉職は資格が必要となりますし、技術職は技術が必要になります。
また、社会人採用などを行っている場合は、社会人経験が求められます。
社会人から転職して地方公務員(中途採用)になれますか?
社会人(一般企業の社員)からでも転職して地方公務員になれます。
中途採用を行っている自治体も多く、社会人経験枠での採用もあります。また、資格や免許を持っている場合は、是非「公務員試験・求人情報サイト 公務in」で探してみてください。
社会人採用なので、自治体によっては年齢制限が緩和されている場合がとても多いです。
ただし、採用予定日は応相談や決まっている場合があるため、募集要項を良く確認しましょう。
まとめ
地方公務員は、仕事や給与が景気に左右されず、安定した職業であることや、休日・福利厚生が充実していること、社会的貢献度が高いことなどで志望する方が多いです。
地方公務員になるためには、年齢制限を一番気にする場合が多く、27歳から35歳までの上限を設けている自治体が多いことも事実です。
しかし、社会人採用や資格職、専門職の採用は年齢制限の上限が59歳までとなっている場合も多く、諦めずに是非チャレンジしてみてください。