人事院は2024年6月19日、国家公務員の応募者不足を解消するために、国家公務員試験の一般職(大卒程度)で、法律や土木などの専門試験を行わない区分を創設する方針を明らかにしました。
さらに、一般職の係長級職員を民間から採用するために、省庁合同試験の新設も検討しています。
各省庁の人材確保は危機的な状況にあるとし、中途採用の拡大も含めた試験改革を進める方針です。
同日に公表された「令和5年度年次報告書(人事院)」でも、その内容が盛り込まれています。
この報告書では、職員一人一人が躍動し、Well-being(幸福)が実現される公務を目指した取り組みが強調されています。
新時代にふさわしい公務員人事管理の実現を目指し、人事行政諮問会議では以下の課題を横断的に議論しています。
- 採用試験方法の見直し
- 民間人材の採用拡大
- 新卒や若手の処遇改善
- フレックスタイム制の拡充
- 在宅勤務手当の新設
多様なワークスタイル・ライフスタイルの実現と職員の成長を支援する施策が進められています。
その中でも、人材確保は危機的状況にあり、
- 「行動範囲の明確化」
- 「職務ベースの報酬設定」
- 「能力・実績主義の徹底」
- 「自律的なキャリア開発と成長支援」
- 「魅力ある勤務環境の整備」
- 「採用手法の改善」
など、各府省のニーズを踏まえて柔軟に施策を導入し、人材の価値を最大限に引き出し、組織のパフォーマンスの最大化を模索しています。
編集部からのコメント
国家公務員の総合職(俗称:キャリア官僚)では、すでに専門試験を課さず、グループ討議などで総合力を問う教養区分を導入した結果、受験者が増加しました。
この背景を踏まえると、国家公務員試験の一般職においても専門試験を廃止する区分の創設や、民間からの係長級職員の採用を目指す省庁合同試験の導入は、受験者の増加に寄与する可能性が高いです。
各府省の人材確保の危機的状況に対応するためには、柔軟かつ効果的な施策が求められています。
例えば、フレックスタイム制の拡充や在宅勤務手当の新設などの具体的な措置は、多様な人材の確保と維持に大きく貢献するでしょう。