2024年6月に、令和6年度実施のアルムナイ採用(再採用)の採用試験を東京都庁が開始しました。
地方公務員のアルムナイ採用とは、自治体・団体が過去に自団体で働いていた元職員(アルムナイ)を再度採用することを言います。(※アルムナイ(Alumni)とは、特定の学校、大学、または企業・団体の卒業生や元社員を指す用語です。)
公務員のアルムナイ採用は、すでに自治体や団体の文化や業務内容に精通しているため、再採用により即戦力となりやすく、研修コストや適応期間の短縮が期待できます。また、自治体や団体にとっても、既に信頼関係が築かれているため、安心して任せられる人材として位置づけられます。
東京都庁は「東京都職員アルムナイ採用選考」と命名し、東京都庁を転職や育児・介護等で退職した有為な人材を厳選して再採用し、その知見を都政に還元することを目的とした採用選考と位置付けています。
日経新聞の取材によると、東京都庁は「有能な人材を厳選して再採用したい」と考えており、事務職、技術職、資格免許職など幅広い職種で、退職時の職種に応じて募集を行っています。
さらに、アルムナイ採用(再採用)の年齢制限も緩和されており、課長級職以上では58歳まで、その他の役職では60歳まで募集しています。
また、東京都庁の特徴として、介護や育児を理由に退職した職員に限定せず、1年以上の勤務経験があるすべての退職者を対象としています。
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編集部からのコメント
アルムナイ採用」は聞きなれない言葉かもしれませんが、2022年頃より、多くの自治体で「再採用」が行われており、特に警察職の再採用が目立っていました。
その中でも、北海道庁や長野県庁は23年度に、再採用を導入しており、このようなアルムナイ採用(再採用)が増える背景には、地方公務員のなりて不足への危機感がうかがえるでしょう。
また、国家公務員でも2000年に郵政省(現 総務省)に国家I種で入省したキャリア官僚が、2024年2月に「出戻り」を行い、「出戻り官僚」として話題になりました。
さらに、2023年12月に総務省の自治体ガイドラインの改正では、新卒者に限らず、多様な経験を持った経験者採用の積極的な実施が重要だとしています。
そのため、一部の自治体や一部の職種で行われていたアルムナイ採用(再採用)は、今後広がりを見せていく可能性があるでしょう。