人事院は2024年5月13日に、2024年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度)と専門職試験(大卒程度)の申込状況を発表しました。
一般職の申込者は2万4,240人で前年度比7.9%減少し、過去最少となりましたが、女性の割合は42.5%で過去最高を記録しました。専門職試験の申込者も減少し、2万1,693人で11.9%減でしたが、航空管制官のみ申込者が増加しました。
(これとは別に、各省庁の幹部候補となる総合職の申込者数は2024年3月に公表され、過去最少の1万3,599人となっています。)
人事院の担当者は、人材確保のため公務員人事管理の見直しと公務の魅力向上が必要であると述べています。
また、一般職試験(大卒程度)の第一次試験は6月2日に実施され、結果は6月26日に発表され、専門職試験(大卒程度)は5月26日に実施され、結果は6月18日に発表される予定です。なお、皇宮護衛官、食品衛生監視員、海上保安官の試験結果は6月26日に発表されます。
以下は、2024年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度)と専門職試験(大卒程度)の申込状況の詳細データです。
2024年国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)の試験区分別申込状況
試験区分/地域 | 2024年度 | 2023年度 | 対前年度比 |
---|---|---|---|
行政/北海道 | 981人(女性330人) | 1,003人(女性359人) | 97.8%(女性91.9%) |
行政/東北 | 1,394人(女性638人) | 1,602人(女性657人) | 87.0%(女性97.1%) |
行政/関東甲信越 | 7,915人(女性3,501人) | 8,476人(女性3,669人) | 93.4%(女性95.4%) |
行政/東海北陸 | 2,191人(女性1,029人) | 2,523人(女性1,112人) | 86.8%(女性92.5%) |
行政/近畿 | 3,036人(女性1,437人) | 3,132人(女性1,429人) | 96.9%(女性100.6%) |
行政/中国 | 1,416人(女性647人) | 1,363人(女性578人) | 103.9%(女性111.9%) |
行政/四国 | 986人(女性442人) | 962人(女性422人) | 102.5%(女性104.7%) |
行政/九州 | 2,300人(女性1,043人) | 2,645人(女性1,197人) | 87.0%(女性87.1%) |
行政/沖縄 | 501人(女性245人) | 610人(女性307人) | 82.1%(女性79.8%) |
小計 | 20,720人(女性9,312人) | 22,316人(女性9,730人) | 92.8%(女性95.7%) |
デジタル・電気・電子 | 455人(女性69人) | 435人(女性64人) | 104.6%(女性107.8%) |
機械 | 199人(女性22人) | 240人(女性22人) | 82.9%(女性100.0%) |
土木 | 819人(女性155人) | 1,045人(女性226人) | 78.4%(女性68.6%) |
建築 | 136人(女性50人) | 163人(女性71人) | 83.4%(女性70.4%) |
物理 | 285人(女性57人) | 284人(女性64人) | 100.4%(女性89.1%) |
化学 | 443人(女性175人) | 491人(女性187人) | 90.2%(女性93.6%) |
農学 | 661人(女性295人) | 756人(女性343人) | 87.4%(女性86.0%) |
林学 | 149人(女性42人) | 184人(女性57人) | 81.0%(女性73.7%) |
水産 | 373人(女性125人) | 405人(女性146人) | 92.1%(女性85.6%) |
小計 | 3,520人(女性990人) | 4,003人(女性1,180人) | 87.9%(女性83.9%) |
合計 | 24,240人(女性10,302人) | 26,319人(女性10,910人) | 92.1%(女性94.4%) |
出典:人事院 2024年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)及び専門職試験(大卒程度試験)の申込状況
2024年度の国家公務員採用試験では、総申込者数が2万4,240人で、前年度の2万6,319人から減少し、対前年度比は92.1%となりました。地域別ではほとんどの地域で申込者数が減少しており、特に東海北陸、九州、沖縄で顕著です。一方、中国エリアと四国エリアの地域では申込者数は増加しています。
また行政以外の職種では、女性申込者数が特に土木と機械で大きく減少しましたが、デジタル・電気・電子などでは増加しています。物理は微増していますが、こちらも他の多くの職種で減少が見られます。
これらのデータから、国家公務員採用試験の申込者数が全体的に減少している一方で、特定の地域や職種では異なる傾向があることが分かります。
2024年度国家公務員採用試験(専門職試験(大卒程度試験))の申込状況
試験名 | 2024年度 | 2023年度 | 対前年度比 |
---|---|---|---|
皇宮護衛官 (大卒程度試験) 女性の割合 |
786人 (女性187人) | 856人 (女性272人) | 91.8% (女性68.8%) |
23.8% | 31.8% | ||
法務省専門職員 (人間科学) 女性の割合 |
1,880人 (女性845人) | 1,990人 (女性884人) | 94.5% (女性95.6%) |
44.9% | 44.4% | ||
財務専門官 女性の割合 |
2,422人 (女性1,099人) | 2,986人 (女性1,293人) | 81.1% (女性85.0%) |
45.4% | 43.3% | ||
国税専門官 女性の割合 |
12,161人 (女性5,137人) | 14,093人 (女性5,837人) | 86.3% (女性88.0%) |
42.2% | 41.4% | ||
食品衛生監視員 女性の割合 |
339人 (女性226人) | 420人 (女性273人) | 80.7% (女性82.8%) |
66.7% | 65.0% | ||
労働基準監督官 女性の割合 |
2,799人 (女性1,153人) | 2,957人 (女性1,157人) | 94.7% (女性99.7%) |
41.2% | 39.1% | ||
航空管制官 女性の割合 |
800人 (女性382人) | 795人 (女性397人) | 100.6% (女性96.2%) |
47.8% | 49.9% | ||
海上保安官 女性の割合 |
506人 (女性94人) | 529人 (女性107人) | 95.7% (女性87.9%) |
18.6% | 20.2% | ||
計 女性の割合 |
21,693人 (女性9,123人) | 24,626人 (女性10,220人) | 88.1% (女性89.3%) |
42.1% | 41.5% |
出典:人事院 2024年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)及び専門職試験(大卒程度試験)の申込状況
2024年度の国家公務員採用試験(専門職試験(大卒程度試験))において、総申込者数は21,693人で、2023年度の24,626人から約11.9%減少しています。これは、国家公務員の専門職の人気が低下している可能性があるでしょう。
次に、国家公務員専門職試験では、女性申込者の割合が全体的に高まっており、特に食品衛生監視員(66.7%)、法務省専門職員(人間科学)(44.9%)、航空管制官(47.8%)などで高い割合を占めています。女性の割合が前年度比で増加している職種も多く見られ、女性の社会進出が国家公務員試験にも反映されていることが分かります。
職種別の申込状況を見てみると、国税専門官の申込者数は12,161人で、最も多くの申込者を集めていますが、前年に比べて約13.7%減少しています。皇宮護衛官(大卒程度試験)や法務省専門職員(人間科学)の申込者数も減少しており、それぞれの対前年度比は91.8%と94.5%となっています。
まとめ:編集部コメント
2024年度の国家公務員採用試験は、全体的な申込者数が減少し、特に一般職では過去最少となりました。
しかし、女性の申込者割合は過去最高を記録するなど、女性の社会進出が公務員試験にも反映されています。国家公務員専門職試験においても同様に申込者数が減少しており、特に土木や機械などの技術系で顕著です。一方で、デジタル・電気・電子分野では申込者が増加するなど、職種によって異なる傾向も見られます。
人事院の担当者が指摘するように、今後は人材確保のために公務員人事管理の見直しや公務の魅力向上が求められるでしょう。また、各省庁の幹部候補となる総合職の申込者数が過去最少となっている現状も、さらなる改善が必要であることを示しています。
全体として、2024年度の国家公務員採用試験は、多様化する働き方や社会進出を反映しながらも、申込者数の減少という課題に直面しています。