自治体の公務員試験において、民間企業を志望する就活生や中途採用者でも受験が行いやすいように、また有望な人材確保を目的に従来の公務員試験(教養・専門)ではなく、SPIを活用して採用するケースが増えています。
このページでは、公務員試験で行われるSPI方式(SPI3、又は新SPI方式)について解説していきます。
SPI3とは?

SPI(エスピーアイ)とは、リクルートマネージメントソリューションズが提供している採用テストであり、全国でもっとも利用されている適性検査の一つです。(2021年12月期実績では、年間利用者数14,400社、受験者数215万人。)
内容や形式、テスト方法にバージョンアップが繰り返され、現在は「SPI3」が提供されています。
(2023年1月現在では、SPIという場合「SPI3」を一般的には指します。)
自治体等によっては、SPIが公務員試験などで利用されることも増えており、「SPI方式(SPI3)」として採用試験案内に記載されることもあります。
SPI3の試験内容について
SPI3の内容は大きく分けて「性格検査」と「能力検査」によって分かれ、以下のような特徴があります。
性格検査 |
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能力検査 |
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両方とも受験者の実践的能力や指向、行動のベースにある特性と資質を明らかにするものです。
SPI3の性格検査と試験対策
SPI3の性格検査は、行動的側面・意欲的側面・情緒的側面・社会関係的側面から、どのような職種に適用しやすいか、ストレス耐性はあるかなどの測定を行います。
注意点としては、性格検査で落とされる場合もあると言うことです。
性格検査の合格するためのコツは、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 他の回答と矛盾しないように注意して回答する
- 嘘をついて回答しないようにする
- 自治体等の雰囲気や受験する職種の働き方を調べ、回答に反映させる
- 自身の性格を知るために自己分析を行っておく
基本的に(1)(2)を押さえておくことが大切となります。
また、不安な方は「無料の性格検査」がいくつかあるため、自身の性格を知るために確認することや、リクナビNEXT(転職サイト)の登録を行うとグットポイント診断を受けることができ、18種類のあなたの強みを客観的に把握することが可能です。
SPI3の能力検査の出題される科目と試験対策
SPI3の能力検査(基礎能力検査)で出題される科目は「言語、非言語、英語、構造的把握力」となり、以下の詳細を確認しておきましょう。
言語 |
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非言語 |
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英語 |
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構造的把握力 |
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SPI3能力検査の試験対策
SPI3の特に能力検査(基礎能力検査)は、対策を行っておれば点数を取ることが可能です。
(ボーダーラインを設けている自治体もあるため、SPIの試験対策は行いましょう。)
言語、非言語、英語に関しては、以下の学力程度の問題が出ます。
- 言語(中学国語程度)
- 非言語(中学数学程度)
- 英語(中学~大学受験程度)
一般的にSPI3の試験対策の勉強時間の目安としては50時間~70時間程度と言われており、SPI3の問題集等を購入し、問題を解いてみると良いでしょう。
ただし、SPI3は毎年質問内容等の変更が加えられるため、問題集は最新のものを活用しましょう。
SPI3の受験方法
SPI3の受験方式の現時点での支流は以下の4つとなります。
WEBテスティング | 指定された期日までに自宅等でWebテストを受験する方式 |
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テストセンター | 試験会場(リアル会場・Web会場)で受験者が予約を行い、パソコンでテストを受ける方式 |
インハウスCBT | 指定された会場で企業側が用意したパソコンで受験する方式 |
ペーパーテスト | 企業でマークシート式のSPIテストを受ける方式 |
公務員試験にSPI方式が採用される場合、「WEBテスティング」と「テストセンター」が利用されることが多いです。
また、テストセンターの場合は、リアル会場の選択を指定される場合がほとんどだと言えるでしょう。
さらに、パソコンでSPIを受験する場合は1問ごとに回答時間の制限が掛かるため、問題回答へのスピード感が求められます。
SPIと公務員試験の違いについて
SPIと公務員試験の違いについて、以下の表にまとめているので確認しましょう。
公務員試験 | SPI | |
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科目 |
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難易度 |
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出題範囲 |
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勉強 |
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共通点 |
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もし、SPIと公務員試験を併願する場合は、出題範囲が広い公務員試験の勉強を中心に行っておくと良いでしょう。
公務員試験のSPI方式について
公務員試験でSPI方式が採用される場合、多くの企業で利用されている「SPI3」と変わりはありません。
主に、以下の2つの適性検査を受けることとなり、第1次試験の試験内容となる場合が多いと言えます。
- 性格検査
- 基礎能力検査
しかし、試験を受ける自治体によって大きく異なるため注意が必要です。
SPI3の場合、公務員試験対策が不要?
上記で説明したようにSPI方式を採用している場合、第1次試験が「性格検査」や「能力検査」となるため、SPI3の対策を行っておけば、公務員試験対策は不要です。
しかし、自治体によっては、第2次試験に論文試験や教養試験、専門試験がある場合や、能力検査はSPIを活用せずに行う場合があり、募集要項によって異なるため注意が必要です。
SPIと公務員試験の違いで説明したように、一般的に公務員試験(教養・専門)よりもSPI3の方が簡単だと言えます。
SPI方式を採用している場合、倍率が上がる?
SPI方式を採用している自治体の場合、就活生等が受験しやすくなるため、SPI方式導入以前よりも倍率が高くなる傾向があります。
そのため、自身が志望する自治体の募集要項をしっかりと確認しておきましょう。
SPI方式で自治体が確認・活用すること事例
青森県黒石市
- 一次試験でSPI3を実施。応募書類と検査結果を勘案し、合否判定を行う
- 二次試験では、人事面接にてSPI3の面接官向け報告書を活用し、面接を行う
- 三次試験では、面接資料の1つとしてSPIを位置づけ、人物理解に活用
市長・副市長もSPI3を確認 - 内定フォローでは、SPI3の本人向け報告書と無料のワークショップツールを使い、研修を実施
- 入庁後は、配属先の上司へSPI3の上司向け報告書を配布し、部下の人物理解に活用
出典:https://www.spi.recruit.co.jp/case/000230.html
福岡県春日市
- 2次試験で実施。3次試験の集団面接・4次試験の個人面接の際にSPI3を手元に置きながら質問の参考にしている
- 選考中・内定後のフォローに活用
出典:https://www.spi.recruit.co.jp/case/000115.html
福島県郡山市
- 従来の「教養試験コース」と併存させる形で「SPI試験コース」を新設
- どちらのコースも、面接前にはSPI3を実施し、面接の場面で活用
- 採用終了後に入庁者の傾向把握や採用課題の分析に活用
出典:https://www.spi.recruit.co.jp/case/000242.html
SPI方式を導入している都道府県例
- 行政職・事務職(大卒程度)
茨城県、群馬県、福井県、長野県、滋賀県、京都府、大阪府、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県 - その他の職種
新潟県(総合土木)、三重県(技術)
まとめ
自治体の公務員試験においてSPI形式は年々増えていくことが予想されます。
希望する自治体の応募内容や試験内容の詳細をまずは確認し、SPI3の試験対策を行っておくように心がけましょう。