皆様は、公務員の安定した職業から、再び公務員への転職を考えたことはありますか。
民間企業と同様に、公務員から公務員への転職は可能です。
さらに、地方公務員では「行政実務経験者」や「公務員経験者」などの枠で採用試験(求人)の募集がかかる場合もあり、一般的に行われています。
また、公務員だからといって転職してはいけない法律や規制などもありません。
転職する注意点としては退職金の引き継ぎの条件や、働きながら試験対策や転職活動を行える時間があるかどうかです。
以下では、公務員から公務員への転職に関する不安や、退職金の引き継ぎについて転職する流れと求人・採用試験の探し方について説明していきます。
公務員から公務員の転職とは?不安を解消しよう
公務員から公務員への転職とは、地方公務員から国家公務員や、地方公務員から他の地域の地方公務員等へ転職することを指します。
また、在籍している省庁や自治体等から、別の省庁や自治体等へ転職することを「割愛」又は「割愛退職」と呼ぶこともあります。
以下では、公務員から公務員への転職を考える方に向けて、不安に思うことを解消するための情報をまとめました。
是非参考にしてください。
公務員から公務員への転職は意外と多い?
弊社で統計を取っているわけではありませんが、昨今、公務員から公務員への転職は意外と多いようです。
その理由に、多くの自治体では、「行政実務経験者」や「公務員経験者」等の名称で、公務員から公務員への転職(中途採用)で募集しています。
是非、気になる方は、以下の公務inの公務員採用試験・求人情報から探してみてください。(時期によっては少ない場合もあります。)
公務員から公務員への転職理由は何?
公務員から公務員への転職理由は、一般的に以下のことが多いようです。
- 配偶者や家族の引っ越しのため
- 家族の介護等のため
- その他、家庭の事情のため
- 現在の職場の仕事が忙しいため
- 現在の職場の人間関係等のストレスのため
- 転勤が多いため
- 現在の各省庁や自治体等や仕事内容への不満のため
(自分が好む仕事がしたい、仕事の裁量を大きくしたい等)
公務員を辞める方を多く見ていると思いますが、公務員は続けたいから、また公務員へ転職しようと考える方は意外と多いのです。
転職理由は前向きに納得できるものを伝えよう
中途採用の公務員試験では、エントリシート等などの自己PR・書類審査や面接試験は避けることができない項目です。
そのため、公務員から公務員への転職理由は、多くの方が納得できる前向きな理由を伝えることがおすすめです。
例えば、家族や家庭の事情であれば、誰しもが納得しやすいでしょう。
また、面接試験では「即戦力になる力や経験があること」「協調性をもって周囲と仕事ができること」を伝えておきましょう。
公務員から公務員への転職は有利?不利?
公務員から公務員への転職は、民間企業経験者等と採用枠を争うことになります。
そのため、有利な点としては、一般的に以下のことが考えられます。
- 即戦力として働けること、歓迎されやすいこと
- 公務員試験に一度合格していること(勉強が容易)
- 応募職種によっては試験内容が緩和されていること
- 年齢制限を比較的気にしなくて良いこと
また、不利な点としては、一般的に以下のことが考えられます。
- 働きながら公務員試験の勉強が必要なこと
- 同じ理由でまた退職してしまうのではないかと採用担当者に思われること
- 説得力がある転職理由が必要なこと
公務員から公務員への転職理由を考えておくことで、民間企業経験者よりも有利であること間違いありません。
さらに、即戦力になる点、組織体質や仕事内容等に理解がある点などから、公務員から公務員への転職は有利であり、プラスに考える採用担当者が多いでしょう。
公務員から公務員への転職で年齢制限はある?
公務員から公務員の転職で、年齢制限は比較的に気にしなくても良いと前述でお伝えしました。
実際には応募する試験内容によって、以下のように異なります。
(注意:以下は一例です。)
新卒系(地方公務員) | 年齢制限30歳未満が多い |
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中途採用向け(地方公務員) | 年齢制限30歳~40歳までが多い |
公務員経験者向け(地方公務員) | 年齢制限50代までが多い |
国家公務員試験 | 年齢制限30歳未満が一般的 |
中途採用(国家公務員) | 年齢制限はない場合が多く、定年までが多い |
気になった方は、公務inの「中途採用(経験者・既卒など)の公務員採用試験日程・求人情報」から、試験情報を探してみてください。
公務員から公務員の転職はバレる?
公務員から公務員へ転職で、不安に思う方も多いですが、結論としては転職活動がバレることはないでしょう。
公務員受験者の個人情報は管理されており、採用以外(採用部門以外)では利用されることがないためです。(受験者のプライバシーが固く守られています。)
公務員は縦割りの組織のため、安心して採用試験に応募することが可能です。
ただし、どのような転職活動でも在籍中の活動において、自分から話してしまうことや、たまたま職場の人間に目撃されてしまうことで、バレる危険性があります。
そのため、注意しながら転職活動を行っていれば、問題ないでしょう。
公務員から公務員への転職は1年目でも可能?
採用試験勉強や転職活動に時間が取れる場合は、公務員から公務員への転職は1年目でも可能です。
しかし、現実的に公務員1年目は、仕事を覚える必要もあり、日々忙しい状態であることは間違いありません。
さらに、1年未満という短い時間での公務員経験となるため、社会人であることや公務員経験者のメリットも、採用試験において見出すことが難しいでしょう。
そのため、2年から3年間経験を積みながら、新たな職場へ転職を検討することをおすすめします。
公務員から公務員の転職で後悔することはある?
個人にもよりますが、公務員から公務員への転職で後悔することは少ないでしょう。
理由としては、組織体質や仕事内容を理解している点、転職する際に各省庁や自治体を選択することができる点です。
新卒から公務員になる場合や、民間企業から公務員へ転職する場合と比較して、「こんなはずではなかった・・・」と、後悔することは少ないでしょう。
ただし、職場の同僚や上司等の人間関係だけは、転職しなければ分からないこともあり、その点だけは注意が必要です。
公務員から公務員へ転職した場合の退職金の引き継ぎについて
公務員から公務員への転職を行った場合、一番気になることは「退職金の算定に係る勤務年数はどうなるのか?」ということではないでしょうか。
民間企業では、当たり前ですが、転職すると「退職金の算定に係る勤務年数」はゼロになってしまいます。
公務員から公務員への転職の場合、条件をクリアすれば問題なく退職金の算定に係る勤務年数が引き継がれることが一般的です。
以下で、公務員から公務員へ転職した場合の退職金について、引き継ぎについて詳しく説明していきます。
公務員から公務員への転職した場合の退職金は引き継がれる
公務員の場合は、以下の法律で退職金が定められています。
また、退職金制度は上記の国家公務員退職手当に記載されているため、通常の場合、地方自治体が準用し、各地方自治体の条例によって一般的に定められています。
そのため、公務員として勤務経験がある方が、別の職種や身分などの公務員へ転職した場合、退職金の算定に係る勤務年数は、そのまま引き継がれます。
例えば、市役所の一般行政職で働いていた職員が、警察官に転職した場合、働いていた退職金の勤務年数はそのまま引き継がれ、警察官を辞めた際に、まとめて退職金が支払われます。
新旧勤務の間を1日も空けないことが条件
公務員から公務員への転職で、退職金の算定に係る勤務年数を引き継ぐ場合は、旧職場から新職場の勤務日数を1日も空けないことが条件になります。
つまり、以下のような転職スケジュール例になります。
旧職場 | (例)3月31日付けで退職 |
---|---|
新職場 | (例)4月1日付けで入職 |
そのため、公務員から公務員への転職において退職金の引き継ぎを考える方は、「少し働くことを休憩しよう」という考え方はできません。
退職する職場の引き継ぎ状況によっては、有休消化を行うことも可能なため、転職するスケジュールを明確にしておきましょう。
念のため給与係へも確認しておこう
公務員から公務員への転職で、新しい転職先が決まった(合格した)場合には、旧職場の給与係にも退職金の算定に係る勤務年数の引き継ぎを確認しておきましょう。
理由としては、特に地方自治体の場合ですが、稀に法律に基づいて条件を整備していない可能性があるためです。
(また、ご自身で条例を確認しても良いでしょう。)
基本的には、退職金の算定に関わる勤務年数は引き継がれる場合がほとんどのため、安心しておきましょう。
公務員から公務員へ転職する流れとは?
公務員から公務員へ転職する場合の一般的な流れを説明していきます。
少なくとも公務員から公務員へ転職するための期間は応募から入職まで、一般的に3ヶ月以上かかります。
民間企業の転職とさほど変わりありませんが、公務員ならではの注意点を以下でお伝えしていきます。
1.在籍期間中に転職活動が必要
前述した、退職金の算定に係る勤務年数の引き継ぎを行うため、在籍期間中に転職活動を行うことをおすすめします。
一度、職場を退職してから、改めて公務員へ転職することももちろん可能ですが、退職金を一度受け取ることとなるため、デメリットの方が大きいでしょう。
そのため、ご自身で転職するためのスケジュールを立てると良いでしょう。
2.職場の退職申出(退職願提出)の期間を確認する
各省庁や自治体等で、退職の申出や退職願を提出する期間が個別に定められています。
例として、東京都の場合は以下の東京都職員服務規程に記載されています。
(退職)
第十四条:職員は、退職しようとするときは、特別の事由がある場合を除き、退職しようとする日の10日前までに、退職願を提出しなければならない。
出典:東京都職員服務規程
また、あくまで規定のため、一般的には引き継ぎや有休消化も考えて、退職日の2ヵ月前から3カ月前に申し出ると良いでしょう。
引き止めに合うケース等もあるため、余裕を持ったスケジューリングを行いましょう。
業務の引き継ぎなども考えて、公務員から公務員への転職の場合は、3月31日退職の4月1日入職がおすすめです。
3.公務員から公務員への転職求人(採用試験)の情報を探す
公務員から公務員への転職を行うために、各省庁や自治体等で募集している採用試験・求人情報を探す必要があります。
主に「経験者枠・社会人枠」等で探すこととなりますが、ご存じのように申し込み期間がタイトな上に、採用試験情報がまとまっていません。
そのため、是非以下の公務員の採用試験・求人サイトの公務inから、ご自身に合う採用試験・求人情報を探してみてください。
(エージェントや他の転職サイトを活用するより、公務員限定で採用情報がまとまっています。)
4.採用試験に応募する
ご存じのように、公務員の採用試験の応募は3月から5月頃にかけて多く行われます。
しかし、中途採用や公務員経験者(行政実務経験者)を対象に行う試験は、年中行われている可能性が高く、転職を希望する場合は、希望の各省庁や自治体等を随時チェックしておくと良いでしょう。
また、教養試験や専門試験等が必要な場合でも、一度公務員試験を合格している経験者のため、民間企業からの転職を考えている方よりも有利でしょう。
5.試験合格後、入職日と退職日を相談・決定する
中途採用の公務員試験の場合は、一般的に入職希望日を相談できるケースがほとんどです。
また、新卒採用と中途採用を同時に行っている場合は、基本的に4月1日になります。
こちらも近年、各省庁や各自治体等によって様々なため、採用試験に応募する際に応募要項を確認しておきましょう。
公務員から公務員の転職4つのパターンの求人・試験の探し方
最後に公務員採用試験・求人サイトを運営している「公務in」より、公務員から公務員へ転職する場合の4つのパターンに分けて、採用試験情報や求人の探し方について説明していきます。
1.地方公務員から国家公務員への転職
地方公務員から国家公務員へ転職する場合、以下の2つのパターンでの検討がおすすめです。
30代未満の場合 | 国家公務員試験を検討する |
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年齢を気にしない場合 | 国家公務員の中途採用を探す |
30代未満の場合、大卒等の国家公務員を検討することも1つの方法ですが、地方公務員からの場合、試験勉強が必要になります。さらに、試験合格後に官庁訪問なども行うこととなり、現在の職場に勤務している場合、スケジュール調整が困難です。
また、国家公務員の中途採用は、地方公務員の中途採用より数がかなり少なくなっており、専門職や専門資格が必要な場合も多いです。
そのため、地方公務員から国家公務員へ転職することは不可能ではありませんが、ハードルは他より高くなるでしょう。
以下の公務inの採用試験・求人情報から探してみてください。
2.国家公務員から地方公務員への転職
国家公務員から地方公務員への転職を希望する場合は、以下のパターンを検討しましょう。
30歳未満の場合 | 新卒や既卒の地方公務員試験を検討する (試験の時期は6月~9月が多く、申し込みは4月頃から開始される) |
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その他の場合 | ・中途採用の時期は随時のため、定期的に試験情報を確認する ・行政経験者・公務員経験者枠を活用する ・中途採用枠や社会人枠、民間企業経験者等の枠を活用する |
国家公務員から地方公務員への転職は、比較的スムーズに行えることが多いです。
理由としては、「実力がある即戦力となる人材が転職してきた」と思われやすいためです。
30歳未満の場合でも、中途採用関連の枠を狙っていくことで、試験内容が緩和されているため、働きながら転職活動も行いやすいでしょう。
以下の公務inの採用試験・求人情報から探してみてください。
- 【公務in】地方公務員の採用試験日程・求人情報
- 【公務in】中途採用(経験者・既卒など)の公務員採用試験日程・求人情報
- 【公務in】公務員経験者の公務員採用試験日程・求人情報
- 【公務in】行政実務経験者の公務員採用試験日程・求人情報
3.地方公務員から地方公務員への転職
地方公務員から地方公務員への転職する場合は、以下を検討しましょう。
30歳未満の場合 | 新卒や既卒の地方公務員試験を検討する (試験の時期は6月~9月が多く、申し込みは4月頃から開始される) |
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その他の場合 | ・中途採用の時期は随時のため、定期的に試験情報を確認する ・行政経験者・公務員経験者枠を活用する ・中途採用枠や社会人枠、民間企業経験者等の枠を活用する |
注意点としては、市町村から、その市町村を管轄している都道府県への転職は、ハードルが少し高くなるようです。
こちらも、30歳未満の場合でも、中途採用関連の枠を狙っていくことで、試験内容が緩和されているため、働きながら転職活動も行いやすいでしょう。
以下の公務inの採用試験・求人情報から探してみてください。
- 【公務in】地方公務員の採用試験日程・求人情報
- 【公務in】中途採用(経験者・既卒など)の公務員採用試験日程・求人情報
- 【公務in】公務員経験者の公務員採用試験日程・求人情報
- 【公務in】行政実務経験者の公務員採用試験日程・求人情報
4.国家公務員から国家公務員への転職
国家公務員から国家公務員への転職も可能です。
例えば、国家一般職から国家総合職への転職した事例があります。
しかし、「国家一般職から国家一般職」「国家総合職から国家総合職」等への転職はあまり事例がありません。
まずは、以下の国家公務員の採用試験・求人情報から探してみてください。
まとめ
公務員から公務員へ転職することは可能です。
ただし、民間企業へ転職するよりも、転職活動に時間がかかることを理解しておく必要があります。
さらに、退職金も引き継がれることから、軽いイメージで考えている方もいるかもしれませんが、転職は転職です。
そのため、ご自身で後悔が無いよう転職活動に取り組むことが大切です。
また、転職時に試験勉強を考える方も多いですが、自治体(地方公務員)への転職の場合は、試験内容も緩和されているケースが多く、まずは調べてみる、検討してみることをおすすめします。