結論として、一般的に公務員を目指す場合は競争試験となり、中途採用等で免許、資格が必要な公務員採用は選考と考えておきましょう。
公務員における「競争試験とは」「選考とは」「競争試験と選考の違いとは」を以下で説明していきます。
公務員における競争試験とは?
公務員における競争試験とは、不特定多数の受験者を対象に成績主義の原則に基づき、試験の合計点(試験成績の高低の比較)により合格者の選抜を行う試験です。
職務遂行能力を有するかを相対的に比較判断(正確に判定)するために、筆記試験や論文試験、個別面接などの方法で行われることが一般的です。
(主に、筆記試験、口頭試問、身体検査、人物性行、教育程度、経歴、適性、知能、技能、一般的知識、専門的知識、適応性の判定などの試験が採用されています。)
一般的な、国家公務員試験や地方公務員試験は、学力試験(教養試験等)に加え、論文・個別面接などの試験が行われているため、競争試験となります。
公務員における選考(採用選考)とは?
選考(採用選考)は、特定の候補者を対象に適性・能力・実績(勤務実績)・意欲など、職にふさわしい能力(職務遂行能力)があるか否かを実証する方法を指します。
競争試験で合格者を決定するのが難しい、「公立病院の医師」や「公立学校の教員」などの受験資格に免許や資格等が必要な場合に実施されます。
試験内容は、特定の候補者が特定の職に就く的確性を有するかどうかを確認する試験となり、書類審査や面接試験、筆記試験等が一般的です。
また、公立学校の教員の採用は「教育公務員特例法第11条」により「選考」によって行われます。
教育公務員特例法第11条教育公務員特例法第11条
公立学校の校長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとし、その選考は、大学附置の学校にあつては当該大学の学長、大学附置の学校以外の公立学校にあつてはその校長及び教員の任命権者である教育委員会の教育長が行う。
引用:文部科学省 教育公務員特例法第11条
公務員における競争試験と選考の違い
公務員における競争試験と選考の違いは以下の通りです。
競争試験 | 選考 | |
---|---|---|
試験対象 | 不特定多数 | 特定の候補者 |
(対象例) | 一般的な、国家公務員試験や地方公務員試験 | 公立病院の医師や公立学校の教員など |
選抜方法 | 試験の合計点(試験成績の高低の比較) | 適性・能力・実績(勤務実績)・意欲など |
試験内容 | 筆記試験や論文試験、個別面接など | 書類選考や面接、筆記試験など |
競争試験と選考は、いずれも公務員の職員採用における基準や方法を意味しており、全ての国民に対して平等の条件で公開されていることに違いはありません(地方公務員法 第18条2)。
選考は、競争試験と比べると例外的な採用の基準や方法となり、「人事委員会が人事委員会規則等によって定めた職」などの限定的な採用場面において適用される場合が多いと言えるでしょう。
ただし、人事委員会を設置しない、地方公共団体では職員の採用は、競争試験又は選考によるものと定められて(地方公務員法 第17条2)いるため、地方公務員においても選考はあります。
地方公務員法 第18条2地方公務員法 第18条2
(採用試験の公開平等)
採用試験は、人事委員会等の定める受験の資格を有する全ての国民に対して平等の条件で公開されなければならない。
引用:地方公務員法
地方公務員法 第17条2
人事委員会を置かない地方公共団体においては、職員の採用は、競争試験又は選考によるものとする。
引用:地方公務員法
まとめ
公務員における競争試験と選考は以下の通りとなります。
競争試験 | 不特定多数の受験者を対象に成績主義の原則に基づき、試験の合計点(試験成績の高低の比較)により合格者の選抜を行う試験 |
---|---|
選考 | 特定の候補者を対象に適性・能力・実績・意欲など、職にふさわしい能力(職務遂行能力)があるか否かを実証する方法 |
一般的に公務員を目指す場合は競争試験となり、中途採用等で免許、資格が必要な公務員採用は選考となると覚えておきましょう。