複数の市町村等の地方公共団体が運営する一部事務組合について説明していきます。

一部事務組合とは?分かりやすく解説

一部事務組合とは、市区町村等が行う仕事(事務)の一部を複数・共同で行う目的で設立する団体を指します。

団体の性格 特別地方公共団体
構成団体 都道府県、市区町村、特別区
(複合的一部事務組合※1は市区町村、特別区のみ)
目的 構成団体又はその執行機関の仕事の一部を共同処理することを目的とする
職員の身分 地方公務員
該当施設例 消防・ごみ処理場、火葬場、上下水道、小・中・高等学校、大学、病院等
  • ※1複合的一部事務組合:複数の共同処理する仕事が複数の市町村間で異なる場合でも1つの組合で処理することができる一部事務組合

一部事務組合は小中規模の市町村が設ける場合が多いと言え、それぞれの一部事務組合には議会が設置されています。

職員の身分は地方公務員

一部事務組合は、地方自治法で「特別地方公共団体」に定められているため、働く職員(正社員)は「地方公務員(地方公務員法に定められる公務員)」となるわけです。

一部事務組合は全国で1,569ヵ所

2022年(令和4年)12月21日現在で、全国で1,569つの一部事務組合(広域連合を含む)が運営されています。

国税庁の一部事務組合一覧(PDF)より確認しておきましょう。

一部事務組合のメリット・デメリット

一部事務組合(広域連合を含む)のメリットとしては、「より広域的観点に立ったまちづくりと施策の展開」や「効果的な施設等の整備と行政サービスの提供」「行政運営の効率化による財政基盤の強化」などが挙げられます。

デメリットとしては、「迅速な意思決定が困難であること」「構成団体の意見が反映されにくいこと」などが挙げられます。

参照:京都府内閣府

広域連合と一部事務組合の違い

広域連合とは、複数の市町村等の地方公共団体が、広域にわたる総合的な計画(広域計画)を作成し、その実施のために連絡調整を図り、その仕事(事務)の一部を処理するために設置する団体です。

複数の市町村等が共同で行う目的で設立することは一部事務組合と同じですが、権限委譲の受け皿となる等、多角的な運営により、広域的な行政目的を達成する点に違いがあります。

具体的な違いについては以下の通りです。

広域連合 一部事務組合
事務(仕事)
  • 都道府県と市町村とが異なる事務を持ち寄って、広域連合で処理することが可能
  • 同一の事務を持ち寄って共同処理する
構成団体の関係
  • 広域計画を策定が必要
  • 構成団体の事務の実施に対して勧告することができる
  • 協議会の設置が可能
権限譲渡
  • 直接国又は都道府県から権限委譲を受けることが可能
  • 都道府県の加入する広域連合から国に、その他の広域連合は都道府県に、権限・事務を処理することとするよう要請することが可能
直接請求
  • 地方公共団体に認められている直接請求と同様の制度を設けることが可能
  • 広域連合の区域内に住所を有するものは、広域連合に対し規約の変更について構成団体に要請するよう求めることができる
  • 法律に特段の規定はない
議員等の
選挙方法
  • 広域連合の長と議員は、いわゆる充て職は認めらず、直接又は間接の選挙により選出される
  • 議会の議員及び管理者は、規約の定めるところにより、選挙され又は選任される

広域連合は、様々な広域的ニーズに柔軟かつ効率的に対応し、権限委譲の受け入れ体制を整備するため、1995年(平成7年)6月から施行された制度となります。

また、一部事務組合と同じく、地方自治法に定められた特別地方公共団体のため、「一部事務組合」の表記の場合、広域連合を含んでいる場合があるため注意しましょう。

まとめ

地方公務員を目指す場合、市区町村や都道府県以外の「一部事務組合」や「広域連合」のことは、最低限知っておくと良いでしょう。

良くある質問まとめ

一部事務組合とは、都道府県、市区町村、特別区等が行う仕事(事務)の一部を複数・共同で行う目的で設立する団体のことを言います。

広域連合とは、複数の市町村等の地方公共団体が、広域にわたる総合的な計画(広域計画)を作成し、その実施のために連絡調整を図り、その仕事(事務)の一部を処理するために設置する団体です。

一部事務組合と広域連合は同じ特別地方公共団体となり、市区町村等が行う仕事(事務)の一部を複数・共同で行う目的で設立する団体です。
広域連合は一部事務組合と比較して、都道府県と市町村とが異なる事務を持ち寄って、広域連合で処理することが可能な点や、設置・運営のための条件が多い点、大きな権限(独自の行政運営ができる権限)を与えられている点などに違いがあり広域的な行政目的を達成することができます。

一部事務組合によって様々ですが、多くの場合は市町村等から出向又は派遣されている職員が多いと言えます。
ただし、一部事務組合で雇用されるいわゆるプロパーの職員が働いている、又は募集している場合もあります。
例としては、「一部事務組合下北医療センター むつ総合病院」などは看護職などのスタッフを直接雇用しています。

一部事務組合で働く職員は地方公務員となります。
一部事務組合は、地方自治法で「特別地方公共団体」に定められているため、働く職員(正社員)は「地方公務員(地方公務員法に定められる公務員)」となります。

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ABOUTこの記事をかいた人

キャリアコンサルタント(国家資格) 真下 彩花

新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、公務員試験・求人情報「公務in」の運営、キャリアアドバイザーとして多くの転職者のサポートを担当中。

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