「民間企業から、土木の公務員へ転職できるのか悩んでいませんか?」または、「民間企業から土木公務員へ転職するのは簡単ではないのでは?」と思っていませんか。
20代~30代の方でも40代~50代の方でも、民間企業から土木公務員への転職は可能です。
(また、県庁・市役所・役場等の自治体などに土木職で転職する(正職員)場合の身分は、地方公務員になります。)
このページでは、公務員採用試験・求人情報サイトを運営する「公務in」から、現在の土木公務員の現状や、転職するための注意点、メリット・デメリット等を説明していきます。
民間企業から土木公務員へ転職できる?年齢制限や試験

民間企業から土木公務員へは、もちろん転職することができます。
(採用試験はありますが、時間がかかる以外、民間企業への転職とイメージはそこまで変わりません。)
さらに、現状、県庁・市役所・役場等の自治体は、土木職の公務員が不足している現状があります。(当社調べ2023年10月時点)
多くの市役所・役場等では、2次募集や追加募集が土木職等で募集されています。(つまり、求人倍率が比較的低く、定員割れの状態です。)
そのため、土木公務員になるためのハードルである、年齢制限、試験の難易度などに昨今変化が起きています。
以下で、さらに詳しく説明していきます。
土木公務員(中途採用)募集の年齢制限は緩和している
公務員試験を受けられたことがない方や、調べたことがない方がイメージするのは、「年齢的に公務員土木への転職は厳しいかもしれない」と感じていることです。
もちろん、新卒者向けの土木職の採用を行っている場合であれば、20代や30代前半などの年齢制限があります。
しかし、中途採用者向けの土木公務員の採用は、30代以上~59歳まで募集している場合が増えています。
例えば、以下例を挙げてご紹介します。
土木公務員の一般的な中途採用 | 昭和39年(59歳)~昭和63年(34歳)までの年齢制限が多い |
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就職氷河期世代の採用 | 37歳~51歳までの年齢制限が多い |
社会人枠(経験者)の採用 | 45歳までの年齢制限が多い |
以上のことから、土木公務員への転職は比較的年齢を気にせずに転職可能な職種であることが分かります。
用語解説:就職氷河期世代の採用について用語解説:就職氷河期世代の採用について
就職氷河期世代とは、バブル経済崩壊後(1991年)の雇用環境が厳しい1993年から2004年頃の時期に就職活動を行っていた方を指します。
大卒であれば、2023年時点の年齢で、満41歳から満52歳となります。
政府をはじめ厚生労働省は就職氷河期世代支援を行っており、県庁・市役所・役場等の自治体でも「就職氷河期世代」を限定して採用している場合があります。
就職氷河期世代に関しては「就職氷河期世代について!公務員の年齢制限や期間と延長」を確認してください。
用語解説:社会人枠(経験者)の採用について
県庁・市役所・役場等の自治体には、同じ土木職でも、「社会人」や「経験者採用」と名前がついているものがあります。
こちらは、行政や民間企業等で土木を経験した方に限定して、採用しています。
土木公務員の中途採用の試験内容も緩和している
一般的に公務員になるためには、公務員試験を受ける必要があります。
県庁・市役所・役場等の自治体に転職する場合は、地方公務員試験に合格する必要があり、「試験」と聞くとハードルが高いと感じる方も多いでしょう。
一般的に、地方公務員試験は初級・中級・上級の3つに分かれており、以下のようなレベルの試験となります。
初級 | 高等学校卒業程度の学力を求められるテスト |
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中級 | 専門学校、高等専門学校程度の学力を求められるテスト |
上級 | 大学卒業程度の学力を求められるテスト |
もちろん、中途採用の中には大学卒業程度の学力を求められるテストや、専門試験と呼ばれる、土木に関しての知識を問うテストなどが設けられている場合もあります。
しかし、土木公務員の中途採用に限定しているものや、社会人枠と呼ばれる民間企業経験者等を対象に採用しているものは、試験内容が緩和されている場合があります。
(試験内容は応募する県庁・市役所・役場等で異なります。)
一番簡単な試験では、エントリーシートや職務経歴で書類選考が行われ、その後、面接で合否を判定するものも稀にあります。
そのため、まずは試験のハードルを考えるよりは、応募する県庁・市役所・役場等を探すことが先決です。
一般的な土木公務員の地方公務員の試験内容について
中途採用に関する土木公務員の一般的な試験内容は以下の通りです。
1次試験 | (以下のいずれか) ・SPIによる性格検査のみ、又は能力検査も実施 ・教養試験、専門試験、適性検査など ・専門試験のみ ・書類選考のみ |
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2次試験 | ・論文、作文試験、口述試験(面接) ・口述試験(面接)のみ |
3次試験 | (ない場合が多い) ・1次が書類選考の場合は2次に専門試験、3次で口述試験(面接)など |
県庁・市役所・役場等の自治体によって試験内容は異なりますので、ご注意ください。
つまり、地方公務員試験を受ける場合、試験内容は同じではありません。
中途採用の土木公務員に求められる経験や資格
中途採用の土木公務員に求められる一般的な経験や資格は以下の通りです。
求められる経験 | ・民間企業等における土木での職務経験 (経験年数は3年以上や5年以上が多い) |
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求められる資格 | ・土木施工管理技士(1級又は2級) ・稀に「管工事施工管理技士(1級又は2級)」 |
また、土木の経験や資格は一切求められない(応募条件にない)場合もあり、こちらも県庁・市役所・役場等によって異なります。
中途採用の土木公務員の採用時期
中途採用の土木公務員の採用時期は、年齢や県庁・市役所・役場等によって多少異なります。(以下では、分かりやすく年齢でお伝えします。)
20代や既卒の方 |
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20代~50代の方 |
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県庁・市役所・役場等の土木公務員の採用は、「新卒」「中途採用」など、明確に区切られている場合は少なく、応募条件を確認して応募することとなります。
土木公務員の採用時期は、翌年の4月1日や、1月1日など明確な期日が決められている場合や、試験合格者と相談して決定する場合が多いです。
そのため、民間企業から土木公務員への転職を希望する場合は、現在の勤務を続けたまま、採用試験を受けると良いでしょう。
土木公務員の仕事内容とは?

土木公務員の主な仕事内容は、土木工事や公共施設の建設・維持管理など、土木技術に関する業務に従事します。
勤務する県庁・市役所・役場等の自治体によって異なりますが、一般的には以下の通りです。
建設計画の作成 | 公共施設や道路などの建設計画を立案し、必要な設計書類や図面を作成します。計画の内容は、交通インフラの整備、公園や上下水道等の公共施設の建設、河川や港湾の管理など多岐に渡ります。 |
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工事監督 | 建設工事の進捗管理や出来高管理を行います。施工現場での工事の進行状況の確認や品質チェック、工程管理などを担当し、工事が計画通りに進むように監督します。 |
予算策定と管理 | 土木工事に関する予算の策定や管理を行います。必要な予算の算定や見積もり、費用の把握、予算の執行状況の管理などを担当し、予算の効果的な活用を図ります。 |
災害対策 | 自然災害による被害を軽減するための対策を立案し、実施します。土砂災害や洪水などのリスク評価や予防策の検討、避難場所の設置や防災施設の整備など、地域の安全確保に関わる業務も担当することがあります。 |
事業計画の立案 | 地域の発展や都市計画に関わる事業計画の立案を行います。土地利用や交通インフラの改善、環境保全に関する計画など、地域の発展や公共の利益に貢献する計画を行います。 |
具体的に、土木公務員と民間企業との違いについて、説明していきます。
土木公務員と民間企業との違いについて
勤務する県庁・市役所・役場等の自治体によって異なりますが、建設に関する調査・設計・積算などは、土木公務員は行わず、施工業者等に依頼をする場合も多いです。
さらに、土木に関わる仕事ですが、公共工事ならではの書類が発生するため、書類作成業務が多くなります。
具体的な書類としては、計画・調査・設計図等の書類を始め、積算・予算書類、施工業者・住民に対する書類、説明会の書類、入札関連の書類などが挙げられます。
そのため、民間企業の違いとしてはマニュアルに沿った仕事が多い印象です。
土木公務員へ転職するメリット

民間企業から土木公務員に転職する場合の一般的なメリットを以下でご紹介します。
給与・賞与も一定水準の安定性
土木公務員の一番のメリットは、給与や賞与(期末手当・勤勉手当)が一定基準決められており、生活水準が安定します。
また、中途採用の土木公務員や経験や年齢によっても明確な規定が決められているため、転職時でも不利な扱いを受けにくいでしょう。
さらに、民間企業のように、「賞与が今年は低かった」ということはありません。(また、近年のコロナ渦などの影響も給与や賞与に影響を及ぼすことはありません。)
給与面で不安なく働ける安定性は、公務員ならではのメリットです。
定年まで働けて、退職金があり公平性がある
土木公務員の場合、懲戒免職(最も重い処分)を受ける以外、業績の良い悪いに関係なくリストラが行われることはありません。
そのため、土木公務員として安定性を得ながら定年まで働き続けられることがメリットです。
さらに、業績が悪化したための倒産もありません。
また、定年まで働き続けた場合にも、規定で決められた退職金を受け取ることができ、金額にも公平性があります。
福利厚生や手当が一定水準整っている
勤務する県庁・市役所・役場等によって異なりますが、職員が働きやすい環境を整えている自治体も増えています。
例えば、男性の育休率が80%を超える自治体や1ヶ月単位で休暇を取得できる自治体などもあります。
民間企業と比較した場合、土木公務員は福利厚生や手当などが一定水準整っているため、メリットに感じやすいです。
土日祝日などカレンダー通りに休日がある
民間企業の土木職の場合は、勤務はシフト制や土日祝日に出勤する場合が多いです。
しかし、土木公務員は土日祝日など、カレンダー通りに休日があります。
そのため、民間企業と比較して土木公務員は年間休日が増える可能性があることや、家族やプライベートも充実させながら働けることがメリットです。
地方でも働けて意外と転職が行いやすい
繰り返しになりますが、土木公務員は不足傾向にあるため、他の職種より民間企業から公務員へ転職が行いやすいです。
さらに、民間企業の場合は働くエリアが制限されますが、勤務する県庁・市役所・役場等の自治体を転職時に選択することで、地方でも働くことが可能です。
また、近年公務員の採用には、Iターン・Uターン・Jターンも積極的に取り入れているため、条件が合えばどの都道府県でも活躍できます。
用語解説:Iターン・Uターン・Jターン用語解説:Iターン・Uターン・Jターンについて
Iターン転職 | 生まれ育った故郷から離れて、別の地域に移住し、就業することを指します。 |
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Uターン転職 | 生まれ育った出身地に戻って就職もしくは転職することを指します。 |
Jターン転職 | 生まれ育った故郷から離れて暮らしていた人が、故郷に近い地方都市などに移住し、就業することを指します。 |
このIターン、Uターン、Jターン転職をまとめて、「UIJターン」等と記載されており、県庁・市役所・役場等の自治体によっては個別の採用枠が用意されています。
大規模工事等の仕事の充実感や達成感がある
勤務する県庁・市役所・役場等の自治体にもよりますが、公共事業は大規模な工事も多いです。
そのため、川に橋を架けることや長いトンネルを掘ること、都市開発や大きな商業施設を造ることなどの公共工事が行われます。
地域住民の役に立つ仕事を行っている充実感と完成した際の達成感で、大きなやりがいを感じる土木職員も多いです。
土木公務員に転職するデメリットとは?

民間企業と比較した場合、土木公務員に転職するデメリットを以下で説明しています。
勤務部署によっては災害発生時は多忙になる
土木公務員の仕事内容で説明したように、地域に災害が発生した場合、避難場所の設置や防災施設の整備など、地域の安全確保に関わる業務が行われます。
そのため、災害発生時は多忙となり昼夜問わず対応する場合もあります。
ただし、規模が大きな自治体等の場合、災害発生時に対応する部署が決められている場合もあります。
残業が多い場合がある
上記で説明した災害発生時も含め、勤務する県庁・市役所・役場等の自治体によっては残業が多い場合もあります。
残業手当も支給されますが、サービス残業となっている自治体もあることは事実で、働く環境によってはデメリットに感じます。
厳格な規制やマニュアルが多い
民間企業と比較して、土木公務員は仕事を行う上で厳格なマニュアルが定められています。
さらに、前例がないことはとても行いにくいです。
働く職員が合理的に考え、売り上げを伸ばしていく民間企業とは異なり、「この資料は何のために作るのか」と思ってしまうこともあるでしょう。
自治体であるため、ルールを守る必要があり、さらには間違いが許されない環境です。
民間企業から土木公務員へ転職するための流れ

民間企業から土木公務員へ転職をするための流れを説明していきます。
1.働くエリアでの求人(採用試験)を確認する
民間企業から土木公務員へ転職するためには、
- 働くエリアを選定すること
- エリアでの土木職での求人(採用試験)を確認すること
以上のことが大切です。
前述したように、採用予定日が決められている場合もあるため、民間企業を退職する前に検討することがおすすめです。
また、土木公務員の募集職種は「土木技師」や「土木職」「土木技術職」等の職種名で募集がかかります。
詳しくは、以下の公務inから確認してみてください。
2.採用試験に応募する
民間企業から土木公務員へ転職するための採用試験の注意点としては、以下のことが挙げられます。
応募期間 | 1ヶ月~2ヵ月と限定されている場合が多い (応募期間が決められていない随時の場合もあります。) |
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試験期間 | 応募期間終了後、決められている場合が多い (希望者と調整し、随時行われている場合もあります。) |
採用時期 | 12月1日や、翌年の4月1日と限定されている場合もある (試験合格者と相談して決定する場合も多い) |
民間企業と異なるため、少なくとも応募から試験に合格するには2ヵ月程度の時間がかかり、実際に働くまでには時間を要します。
3.採用試験にあった対策を行う
民間企業から土木公務員へ転職する場合、公務員試験の勉強を行わなければならないと考える方も多いですが、県庁・市役所・役場等の自治体によって異なります。
例えば、書類選考と面接のみの試験で、専門試験の勉強をしても意味がありませんし、SPIの試験が行われるのに対し、教養試験の勉強をしても意味がありません。
そのため、募集要項に記載している試験内容を確認の上、対策を行うことが大切です。
まとめ
民間企業から土木公務員へ転職するために必要な知識やメリット・デメリットを説明してきました。
土木職に関わらず、転職する場合は年収が上がることや下がることもありますが、勤務する県庁・市役所・役場等によって給与は多少異なります。
そのため、一概に下がるとは言えず、手当を含むと年収が上がる方もいらっしゃいます。
また、繰り返しになりますが、民間企業を辞める前に、土木公務員の試験内容(求人情報)の確認を行い、検討してみてください。