地方公務員として働く獣医師の平均年収は、約633.2万円、平均給料は約38.8万円です。

公務員採用試験・求人サイトを運営しております「公務in」が、地方公務員の獣医師を目指す方、地方公務員の獣医師に転職を考えている方に向けて、獣医師の平均年収・給料について、職場別の獣医師数(届出数)、地方公務員の獣医師の仕事内容、地方公務員の獣医師に転職・就職するためには等を詳しく説明していきます。

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獣医師の平均年収・給料について

獣医師の平均年収・給料について

民間企業・診療施設で働く獣医師と、地方公務員の獣医師の平均年収・給料について調査してみました。

結果として、民間企業・診療施設で働く獣医師の平均年収は約650.0万円、平均給料は約46.4万円です。一方、地方公務員の獣医師の平均年収は約633.2万円、平均給料は約38.8万円でした。

以下で詳しく説明していきます。

民間企業・診療施設で働く獣医師の平均年収・給料について

厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、民間企業等で働く獣医師の年収は、全体で約650万円となり、詳細は以下の通りです。

平均年収 平均月給(月) 平均賞与(年) 平均年齢 平均勤続年数
獣医師(全体) ¥6,500,200 ¥464,200 ¥1,007,700 40.8歳 6.7年
獣医師(男性) ¥7,035,300 ¥502,300 ¥856,600 45.5歳 8.6年
獣医師(女性) ¥5,236,000 ¥374,200 ¥745,600 27.9歳 1.6年

民間企業・診療施設で働く獣医師の場合、男性の方が女性よりも高い給与を得ており、その差は年間で約180万円の差があります。(これは、獣医師の職業においても男女での給与格差が存在していることを示唆しています。)

次に地方公務員の獣医師の平均年収を確認していきましょう。

地方公務員の獣医師の平均年収・給料(医療職2表)

地方公務員の獣医師は、医療職2表で給料等が定められており、各地方自治体で金額が多少異なります。(気になる方は、希望する自治体で医療職2表を調べてみましょう。)

以下は、2021年(令和3年)の総務省:職種別職員の平均給与額から「医療職2表」の区分を抜粋したものです。

平均月給(※1) ¥388,685
平均賞与(※2) ¥1,668,474
平均年収 (約)¥6,332,694
職員数(※3) 36,712人

地方公務員の獣医師の平均年収は約633.2万円、平均給料は約38.8万円となり、民間獣医師よりも約17万円低い結果となりました。

ただし、勤務する地方自治体や獣医師としての職務の級(号泣)等によっては、民間獣医師よりも高い給料が貰えるケースも多いです。

そのため、獣医師の平均年収は地方自治体の一般行政職よりも高く、民間獣医師とさほど変わらないと考えてよいでしょう。

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職場別の獣医師数(届出数)

職場別の獣医師数(届出数)

2022年(令和4年)12月31日時点では、農林水産省の「獣医師法第22条の届出状況」による獣医師の人数は全体で40,455人(内、獣医事に従事する総数は36,101人) です。

獣医師法第22条の届出状況によると、個人診療施設の獣医師数が最も多く、16,541人。続いて公務員全体の獣医師数が9,213人という結果になっています。

公務員の獣医師は不足していると言われますが、国家公務員、地方公務員、民間団体職員、個人診療施設に分けて、届出が出ている獣医師数を以下詳しく説明していきます。

国家公務員・地方公務員の獣医師数(届出数)

国家公務員・地方公務員の獣医師数(届出数)は以下の通りです。

職場 合計数 農林畜産 公衆衛生 教育公務員 環境 その他
国家公務員 553人 343人 147人 18人 45人
都道府県庁職員(地方公務員) 6,568人 2,910人 3,495人 33人 102人 28人
市町村職員(地方公務員) 2,092人 126人 1,736人 1人 42人 187人
公務員合計 9,213人 3,379人 5,378人 34人 162人 260人

公務員で働く全体の獣医師数は9,213人という結果になりました。

公務員の中では、都道府県庁で働く地方公務員の獣医師が最も多く、6,568人となっています。

また、地方公務員においては公衆衛生の仕事を行っている獣医師が農林畜産を上回っており、およそ1.7倍の差があります。

民間団体の獣医師数(届出数)

民間団体の獣医師数(届出数)については、以下の通りです。

農業協同組合 265人
業共済団体 1,820人
製薬・飼料等企業 2,785人
独立行政法人 1,022人
競馬関係団体 254人
私立学校職員 731人
社団・財団法人 688人
その他 277人
合計 7,842人

民間団体で働く獣医師数は7,842人で、製薬・飼料等企業勤務の獣医師(2,785人)が最も多くなっています。

また、公務員で働く獣医師の方が、民間団体で働く獣医師よりも全体で1,371人多い結果でした。

個人診療施設の獣医師数(届出数)

個人診療施設の獣医師数(届出数)については以下の通りです。

産業動物 2,089人
犬猫 16,541人
その他 251人
合計 18,881人

個人診療施設で働く獣医師数の合計は、公務員・民間団体と比較して最も多く18,881人でした。

その中でも犬猫等の動物病院に勤務する獣医師が最も多く16,541人という結果でした。

地方公務員の獣医師の仕事内容

地方公務員の獣医師の仕事内容

地方公務員として働く獣医師の仕事内容は大きく分けて、「農林畜産」と「公衆衛生」に分けられます。(その他にも環境や教育などの分野もあります。)

勤務する地方自治体にもよりますが、農林畜産、公衆衛生共に獣医師が担当する場合や、各担当に分けられている場合があります。

また、地方公務員として働く獣医師の職場としては、以下のように複数該当し、勤務する地方自治体によって異なります。

  • 本庁
  • 食肉衛生検査所
  • 家畜保健衛生所
  • 畜産
  • 林業
  • 水産試験場
  • 動物園・水族館など
  • 動物愛護施設

国家公務員との比較として、獣医師の地方公務員の方が働く職場が広いです。

以下では、地方公務員の獣医師の農林畜産と公衆衛生の一般的な仕事内容について、詳しく説明していきます。

(注:各自治体によって地方公務員の獣医師の仕事内容は異なります。)

農林畜産の獣医師の仕事内容

地方公務員の獣医師が担当する農林畜産業務は主に、畜産農家に往診して、家畜の診療と病気の予防や飼養衛生管理の指導などを担当します。

また、家畜の伝染病防疫や、家畜の改良増殖の仕事もその活動範囲となり、業務内容は多岐にわたります。

以下は、地方公務員の獣医師が農林畜産において担当する仕事の一例です。

  • 畜産動物の健康管理
  • 畜産施設の検査と管理
  • 繁殖管理
  • 家畜の診断と治療
  • 伝染病予防と対策
  • 食品の生産から出荷までの監視
  • 農家や畜産者への助言と教育

地方公務員の獣医師は地域の農林畜産業を支え、畜産物の安全性や地域住民の健康を守る役割を果たします。

また、家畜の専門家としての活動も行い、地域の生産物の安全性を向上させるための研究等も行います。

公衆衛生の獣医師の仕事内容

地方公務員の獣医師が公衆衛生に関わる仕事としては、動物から人間への感染症の予防や管理、動物愛護担当職員等を担当します。

感染症の予防や管理としては、獣医師の免許が必要な業務として畜検査員、食鳥検査員、狂犬病予防員なども請け負います。

また、動物愛護担当職員としては、犬、ねこの引き取り、負傷動物の保護収容、動物の適正飼養指導、動物愛護思想の普及啓発、動物取扱業者指導(立入等)、特定動物飼養・保管施設指導等も行い、業務内容は多岐にわたります。

地方公務員の獣医師に転職・就職するためには?

地方公務員の獣医師に転職・就職するためには?

地方公務員の獣医師に転職・就職するためには、希望する地方自治体を選択し、応募条件に従って応募。その後、地方公務員試験に合格する必要があります。

地方公務員試験に合格後、採用候補者名簿に登載され、欠員状況等に応じて順次採用されます。

具体的には、新卒の獣医師であれば4月1日、民間企業等から転職する獣医師であれば、相談の上、採用日が決定されます。

「地方公務員試験」というとハードルが高く感じるかもしれませんが、民間企業への転職、就職の選考の中にテスト(試験)が含まれているイメージで良いです。

また、公務員の獣医師不足の背景から、各地方自治体では採用する獣医師の年齢制限、待遇、試験内容が年々緩和されている傾向にあります。

以下では、地方公務員の獣医師になるために確認したい、年齢制限、試験内容、転職する場合の求人の探し方等を詳しく説明していきます。

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地方公務員の獣医師の年齢制限

地方公務員の場合、20歳代でなければ転職・就職が難しいと考えている獣医師の方も多いですが、資格職や獣医師の年齢制限は年々緩和している傾向にあります。

地方自治体によって異なりますが、年齢制限が定年年齢(61歳)から、59歳以下まで募集している採用試験が多いです。

そのため、30歳代、40歳代、50歳代の獣医師の方でも、年齢を気にすることなく、勤務を希望する自治体を探せるでしょう。

地方公務員の獣医師は(基本)獣医師免許のみでOK

地方自治体が公表している採用試験ですが、年齢制限をクリアした後は、資格要件等をクリアしなければ試験を受けることができません。

しかし、獣医師の場合は「獣医師の免許を現に有する方、又は来年春季までに実施される免許取得の国家試験に合格し、免許を取得する見込みの方」というシンプルな条件になっています。(他の職種よりも条件面が緩和されています。)

さらに、中途採用・転職を考える獣医師の方でも、職務経験を問われることや、その他資格が必要なことは、とても少ないです。

そのため、獣医師免許があれば、容易に地方公務員の採用試験にチャレンジすることができます。

地方公務員の獣医師の試験内容

前述した通り、獣医師の地方公務員試験内容は、年々緩和されており、以下のような内容が多くなっています。

新卒獣医師の場合 ・専門試験、面接試験
・SPI(Webテスト)、専門試験、面接試験
・論文審査、適性検査、面接試験
中途採用の獣医師の場合 ・面接試験(Web面談)のみ
・書類選考、面接試験
・SPI(Webテスト)、面接試験
・論文試験、適性検査、面接試験
・専門試験、適性検査、面接試験

特に、中途採用・転職を考える獣医師の方は、面接試験のみの地方自治体も増えています。

また、SPI(Webテスト)を活用している自治体も増えているため、公務員試験対策を行わなくても地方公務員試験に合格することができます

地方公務員の獣医師へ転職する場合の求人の探し方

地方公務員の獣医師へ転職する場合の求人(採用試験)の探し方ですが、年間を通じて募集している地方自治体が多いです。

そのため、地方公務員の獣医師へ転職を希望した段階で求人(採用試験)を探してみると良いでしょう。

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また、新卒の獣医師においては、3月から4月頃にかけて(翌年の4月1日採用の)求人(採用試験)が多く出るため、そのタイミングで応募すると良いでしょう。

さらに、地方公務員試験に落ちてしまった場合でも、通年で募集しているため、他の自治体を探すと良いでしょう。

地方公務員の獣医師は不足している?

地方公務員の獣医師の募集人数を確保できている自治体は千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県など大都市部を抱える地域に集中している傾向があります。

不足の原因としては動物病院等を就職先に選択する獣医師が多く、地方公務員獣医師の仕事内容が不明確であることや、業務範囲が広いことが挙げられます。

(参照:公務員獣医師不足に関する質問主意書/衆議院

そのため、各地方自治体は獣医師確保のために待遇の見直しを行ったり、年齢制限、試験内容の緩和を行ったり取り組んでいます。

まとめ

地方公務員の獣医師になるメリットとしては、給与や賞与も一定水準であり安定性が高いこと、定年まで働くことができて退職金等の福利厚生が整っていること、土日終日などカレンダー通りに休みがあることなどが挙げられます。

また、特に地方公務員の獣医師へ転職を考える方は、年齢制限や試験内容も緩和されており、地方自治体によっては待遇も改善されているため、今がチャンスではないでしょうか。

一般的に獣医師の方は動物病院に勤務される方が多いと思いますが、この機会に一度、地方公務員の獣医師を目指してみてはいかがでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

キャリアコンサルタント(国家資格) 真下 彩花

新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、公務員試験・求人情報「公務in」の運営、キャリアアドバイザーとして多くの転職者のサポートを担当中。

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