臨時的任用職員は、一定の期間限定で雇用される公務員です。
また、公務員の中でも任用職員は「臨時的任用職員」を始め、「任期付職員」や「会計年度任用職員」などもあります。
現在、臨時的任用職員や臨時的任用教員(臨任教員)を希望されている方は、是非こちらの内容を確認しておきましょう。
以下では、「臨時的任用職員とは」を始め、臨時的任用職員の給料やボーナス、退職手当等を解説していきます。
臨時的任用職員とは
臨時的任用職員とは、一般の職員や教員が様々な事由により欠員が生じた場合等に期間に限定して雇用される職員のことを指します。
(臨時的任用職員は、地方公務員法が適用されるため、職員の身分は地方公務員です。)
また、臨時的任用職員の場合は常勤職員と同様にフルタイムで任用され、6ヵ月を超えない期間で臨時的任用が行われます。さらに、6ヵ月を超えない期間で更新することが可能ですが、再度更新することはできません。
※実際には「任期満了」となった場合でも、新しく「任期開始」されることで、臨時的任用職員として働くことも可能な場合もあります。
臨時的任用職員が雇用される3つの場合
臨時的任用職員は「地方公務員法(e-Gov)」により、以下の3つの場合に臨時的任用が認められています。
- 緊急の場合
- 臨時の職に関する場合
- 採用候補者名簿がない場合
ただし、注意点としては、人事委員会を置かない地方公共団体の場合、採用候補者名簿の作成が義務付けられていないため、除外されます。
臨時的任用職員が募集される場合は、職員や教員が様々な事由により欠員が生じたときが多く、産前産後休暇や1年未満の休暇・休業等の理由によるものです。
また、「災害その他重大な事故のため、正規の採用が行われるまでの間、その職員の職を欠員にしておくことができない場合」「災害その他重大な事故の発生により緊急にある職員の採用を必要とする場合」などにも臨時的任用を行うケースがあります。
臨時的任用職員の法的な根拠(地方公務員法 第22条の3)臨時的任用職員の法的な根拠(地方公務員法 第22条の3)
法的な根拠としては以下の「地方公務員法 第22条の3」が該当します。
(臨時的任用)第22条の3
- 人事委員会を置く地方公共団体においては、任命権者は、人事委員会規則で定めるところにより、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合において、緊急のとき、臨時の職に関するとき、又は採用候補者名簿(第21条の4第4項において読み替えて準用する第21条第1項に規定する昇任候補者名簿を含む。)がないときは、人事委員会の承認を得て、6月を超えない期間で臨時的任用を行うことができる。この場合において、任命権者は、人事委員会の承認を得て、当該臨時的任用を6月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない。
- 前項の場合において、人事委員会は、臨時的に任用される者の資格要件を定めることができる。
- 人事委員会は、前二項の規定に違反する臨時的任用を取り消すことができる。
- 人事委員会を置かない地方公共団体においては、任命権者は、地方公共団体の規則で定めるところにより、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合において、緊急のとき、又は臨時の職に関するときは、6月を超えない期間で臨時的任用を行うことができる。この場合において、任命権者は、当該臨時的任用を6月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない。
- 臨時的任用は、正式任用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない。
- 前各項に定めるもののほか、臨時的に任用された職員に対しては、この法律を適用する。
臨時的任用教員(臨任教員)とは?違い
臨時的任用教員(臨任教員)とは、小学校・中学校・高等学校にういて、産休や病欠などで長期休職する一般教員の欠員等を補う職員であり、法的な根拠は「臨時的任用職員」と変わらず、「地方公務員法 第22条の3(e-Gov)」が該当します。
そのため、「臨時的任用職員」との違いは、当該教員免許状を有していることが条件になります。
臨時的任用職員と任期付職員の違い
任期付職員は、地方分権の進展に伴い、多様な任用・勤務形態を活用できるようにするため、専門的知識、経験が必要となる場合や市民サービスの提供体制を充実させる場合、部分休業を取得する職員の業務の代替などの場合に即戦力として任用する制度です。(出典:地方公務員の任期付職員とは?)
また、臨時的任用職員とは違い、任期付職員は「任期付職員法(地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律)」という特例法の対象です。
臨時的任用職員と雇用の目的等、以下の内容が異なります。
項目 | 任期付職員 | 臨時的任用職員 |
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雇用目的 |
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身分 |
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勤務形態 |
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雇用期間 |
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更新 |
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賞与・退職金 |
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さらに詳しくは「地方公務員の任期付職員とは?」を確認しておきましょう。
臨時的任用職員と会計年度任用職員の違い
会計年度任用職員とは、自治体の繁忙期や職員に欠員が生じた際等に、正規職員の補助として一会計年度内を任期として任用される非常勤の地方公務員を指します。
また、会計年度任用職員は地方公務員法(e-Gov)・地方自治法(e-Gov)の改正により、2020年(令和2年)4月1日から全国すべての市町村で施行された制度です。
臨時的任用職員との違いとしては、任用目的の違いを始め、雇用形態がパートタイムとフルタイムがあることや、雇用期間が原則1年度以内であること挙げられます。
項目 | 会計年度任用職員 | 臨時的任用職員 |
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雇用目的 |
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身分 |
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勤務形態 |
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雇用期間 |
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更新 |
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賞与・退職金 |
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さらに詳しくは、「会計年度任用職員とは?副業はOK?パートタイム・フルタイムとの違い」を確認しておきましょう。
臨時的任用職員の給料やボーナス(期末・勤勉手当)
臨時的任用職員は、正規職員に準じて通勤手当、時間外勤務手当、期末・勤勉手当(ボーナス)等が支給されます。
さらに、勤務期間に応じて年次休暇取得(任用期間が6ヶ月の場合、有給休暇は10日)も可能です。
地方公務員全体の月給や期末・勤勉手当(ボーナス)の平均を参照しておきましょう。
平均月収 | 343,131円 |
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平均期末手当 | 957,912円 |
平均勤勉手当 | 710,561円 |
平均賞与 (期末手当+勤勉手当) |
1,668,474円 |
出典:地方公務員の平均年収・給与・賞与(都道府県別・市区町村別)2022年発表
ただし、期末手当は「算定基礎額×支給月数×期間率」、勤勉手当は「算定基礎額×成績率×期間率」によって計算されるため、おおよそ臨時的任用職員の場合は地方公務員1年目の給料、(受け取れる場合は)平均賞与(期末手当+勤勉手当)になると思っておきましょう。
臨時的任用職員の退職手当(退職金)について
令和2年(2020年)4月1日の改正退職手当条例が施行されため、地方自治体等に勤務する臨時的任用職員も、一定の条件をクリアすることで退職手当(退職金)が支給されます。
(補足:「条例とは」普通地方公共団体の区域内で適用される自治立法のことを言います。)
一定の条件については、2020年4月1日以降、6ヵ月以上の任用期間がある臨時的任用職員であることです。なお、「任期満了」となった場合でも、新しく「任期開始」される場合は、その期間は通算され、計算されます。(定年退職者等の場合を除く)
臨時的任用職員の退職手当の計算方法
臨時的任用職員の退職手当額については、「退職時の基本給×年数に合わせた支給率」で計算されますが、任期満了か、自己都合の退職かで支給率が以下のように異なります。
(退職時の基本給には調整額が含まれます。)
年数 | 任期満了 (支給率) |
自己都合 (支給率) |
---|---|---|
1年 | 0.8370 | 0.5022 |
2年 | 1.6740 | 1.0044 |
3年 | 2.5110 | 1.5066 |
4年 | 3.3480 | 2.0088 |
5年 | 4.1850 | 2.5110 |
※本来は10年まであります。
※出典:退職手当支給のお知らせ(鳥取県)
ただし、注意点としては任用されて退職・任期満了するまでの年数が、1年未満の端数月がある場合は原則としてこれを切り捨てされます。(例:1年6ヵ月の場合は、1年になる。)
また、任用期間が0年11ヶ月以下の場合は、端数月を切り上げます。(つまり1年になる。)
例えば基本給が25万円で1年間、臨時的任用職員として任期満了まで勤務した場合には、「250,000×0.8370」となり、209,250円の退職手当を受け取ることができます。
臨時的任用職員の退職手当はいつ貰えるのか?
臨時的任用職員の退職手当はいつ貰えるのかという問いが多いですが、原則、退職手当は1ヵ月以内に振り込まれます。
理由として、公務員の退職手当に関する法律から説明していきます。
まず、国家公務員に関しては「国家公務員退職手当法(e-Gov)」では、退職金の振り込み日が決められており、原則により退職手当は翌月中の振り込みとなります。
また、地方公務員においても、「地方自治法(e-Gov)」に基づいて国家公務員の制度と同じように扱うことが定められており、同じく退職手当は1ヵ月以内の振り込みになります。
まとめ
都道府県、市区町村などの自治体が職員の産前産後休暇や1年未満の休暇・休業等で臨時的任用職員を募集する場合があります。
さらに、近年は教員不足が顕著であり、地方自治体の小学校、中学校、高等学校で臨時的任用教員(臨任教員)を募集することが増えています。
臨時的任用職員のルールは、「地方公務員法 第22条の3(e-Gov)」で定められているため、こちらの記事の内容を確認するとともに、理解したうえで入職を検討しておきましょう。