地方公務員の職種には大きく6つの区分があり行政職、技術職、福祉職、心理職、公安職、資格免許職となります。
以下で資格免許職の特徴や種類と仕事・試験の程度について解説していきます。
1.資格免許職の特徴
地方公務員の他の職種にはない、資格免許職の特徴をご紹介します。
(1)試験には該当資格(見込み含む)が必要
地方公務員の資格免許職採用の場合は、筆記や面接試験に加え、資格保有者、又は資格取得見込み者である必要があり、資格取得見込み者で地方公務員試験を合格したとしても、指定される資格試験に落ちた場合、採用は見送られます。
(2)年齢制限は幅広い
新しく学校を卒業する「新卒のみ」を募集している地方自治体も多くありますが、資格免許職は資格が必要なため中途採用も多く募集しています。
特に、都市部以外の資格免許職はほとんどが中途採用と言っても過言ではありません。
そのため、年齢の幅が広く定年(60歳)まで採用試験を受けることが可能な地方自治体も多くあります。
「地方公務員には年齢制限がある」と思っている資格保有者も是非、試験・求人を探してみてください。
(3)試験内容が他の職種より簡易
資格免許職は、試験の内容に「専門試験」が入ることが多く、一般試験、専門試験、面接などで終了する場合が多いと言えます。
さらに極端な例でお伝えすると例えば、看護師や助産師の場合は選考方法が、
- 書類審査
- 面接等
で終了してしまう場合もあります。
このように、資格免許職は他の職種よりも試験内容が簡易であり、採用も優遇されていると言えます。
(4)不定期に試験が行われる職種
資格免許職は、資格取得者であり中途採用が多い特性から、試験は他の職種より不定期に行われる場合が多いと言えます。
もちろん、3月頃や9月頃の採用も多いですが、地方公務員に転職したいと考えたときに探すと意外と見つかりやすいです。
また、他の職種では急な欠員が出た場合に急募の募集が行われますが、資格免許職の場合は人手不足で1年中募集している地方自治体もあります。
2.資格免許職の種類と仕事・試験の程度について
以下で各資格免許職の試験の程度と仕事内容を説明していきます。
また「試験の程度」においては、比較的多い試験の程度となるため、目安として考えてください。
(1)幼稚園教諭・保育士
- 仕事・職務内容:公立の幼稚園・保育所、病院、児童相談所等
- 主な職場:保育業務
- 試験の程度:大卒程度、短大卒程度
幼稚園教諭・保育士の場合は働く職場が変わるイメージとなり、地方自治体によっては給料が良いため、幼稚園教諭・保育士に人気があります。
また、幼稚園教諭・保育士資格がセットの場合が多いと言えます。もちろん保育士資格のみの募集も探せばあります。
(2)看護師、准看護師
- 仕事・職務内容:看護業務に従事
- 主な職場:公立病院、保育所、福祉施設、県庁・市役所・役場等
- 試験の程度:短大卒程度
看護師は医療現場でも不足しているため、公立病院への配属が一般的と言えます。また、少ないですが准看護師の地方自治体によっては募集を行っており、専門看護師や認定看護師に限定した採用も行っています。
働く職場を確認しながら地方公務員試験・求人を探すと良いでしょう。
(3)助産師
- 仕事・職務内容:助産業務、看護業務に従事
- 主な職場:公立病院等
- 試験の程度:短大卒程度
助産師の場合、募集求人は少ないですが、採用までの試験が看護師よりも簡易な場合があります。また、職務内容は看護業務を行う場合もあるので、しっかりと確認しましょう。
(4)保健師
- 仕事・職務内容:健康相談、保健指導、家庭訪問による看護サービス・看護方法の指導教育等
- 主な職場:県庁・市役所・役場、公立病院、健康福祉センター等の出先機関
- 試験の程度:大卒程度、短大卒程度
保健師の業務内容は多岐に渡るため、職務内容をしっかりと確認して応募しましょう。
また、保健師は看護師、助産師と比較しても人気のため、試験対策はしっかりと行っておきましょう。
(5)薬剤師
- 仕事・職務内容:薬事・毒物等の監視、食品衛生・環境衛生に関する監視、調剤等
- 主な職場:県庁・市役所・役場、公立病院等の出先機関
- 試験の程度:大卒程度
薬剤師は公立病院の募集が比較的多く、病院薬剤師となります。こちらも人手不足の資格のため病院薬剤師の場合は試験が簡易です。
募集内容や職務内容をしっかりと確認して応募しましょう。
(6)管理栄養士・栄養士
- 仕事・職務内容:栄養管理、栄養指導等の専門的業務
- 主な職場:県立病院、県立学校、市町村立小・中学校、保健所等
- 試験の程度:大卒程度、短大卒程度
管理栄養士・栄養士の場合は、職務内容をしっかりと確認して応募しましょう。また、募集要項に配属先が記載されていないケースがあるため、面接時などに合わせて確認しておきましょう。
配属先の幅が広いため、注意が必要です。
(7)司書
- 仕事・職務内容:資料の収集、分別・整理、図書の貸し出し等、図書館の専門的業務
- 主な職場:公立図書館、公立学校図書館等
- 試験の程度:大卒程度、短大卒程度
司書は募集が少ないため、地方公務員の求人を可能な限りチェックしておきましょう。
(8)学芸員
- 仕事・職務内容:資料等の収集、保管、展示、調査研究及び教育・普及活動などに関する業務
- 主な職場:博物館等
- 試験の程度:大卒程度
職場が博物館となるため、博物館を運営している市区町村が募集します。しかし、欠員が出た際に募集されるケースが多く、他の職種と比べて募集は少ないと言えます。
希望する方は随時、募集をチェックしておきましょう。
(9)獣医師
- 仕事・職務内容:家畜保健衛生、衛生監視、動物保護管理、家畜防疫、家畜等に関する試験研究等
- 主な職場:県庁・市役所・役場または出先機関
- 試験の程度:大卒程度
獣医師の人材は不足しており、地方自治体によっては10名以上の大量採用を行う場合もあります。経験者枠も豊富にあるため、勤務先を確認しながら探しましょう。
(10)社会福祉士
- 仕事・職務内容:相談・心理判定業務等、社会福祉施設等における介護を伴う生活支援の業務等
- 主な職場:児童相談所、保健福祉事務所等
- 試験の程度:大卒程度
社会福祉士は任用資格となるため、応募資格に「社会福祉主事の任用資格を有する人」が入ります。
また、職務内容は多岐に渡り、職場も様々のため注意しましょう。
(11)臨床心理士
- 仕事・職務内容:児童等への心理診断、心理療法等の業務
- 主な職場:児童相談所、精神保健福祉センター等
- 試験の程度:大卒程度
臨床心理士は「公認心理師及び臨床心理士」の資格が必要になる場合が多いため、応募条件を確認しましょう。
(12)精神保健福祉士
- 仕事・職務内容:各種福祉業務における相談・援助・指導及び福祉施策の企画・事業推進等
- 主な職場:保健福祉局、精神保健福祉センター等
- 試験の程度:大卒程度
精神保健福祉士は「社会福祉主事任用資格取得(見込み)の人」が応募条件に入るため、確認しておきましょう。
(13)作業療法士
- 仕事・職務内容:作業療法士の職務に従事
- 主な職場:公立病院等
- 試験の程度:短大卒程度
募集件数が比較的少ないため、求人募集をチェックしておきましょう。
(14)理学療法士
- 仕事・職務内容:理学療法士の職務に従事
- 主な職場:公立病院等
- 試験の程度:短大卒程度
募集件数が比較的少ないため、求人募集をチェックしておきましょう。
(15)診療放射線技師
- 仕事・職務内容:診療放射線技師の職務に従事
- 主な職場:公立病院等
- 試験の程度:短大卒程度
全国的に募集件数が比較的少ないため、求人募集をチェックしておきましょう。
(16)臨床検査技師
- 仕事・職務内容:臨床検査技師の職務に従事
- 主な職場:公立病院等
- 試験の程度:短大卒程度
全国的に募集件数が比較的少ないため、求人募集をチェックしておきましょう。
(17)救急救命士
- 仕事・職務内容:救急救命士の職務に従事
- 主な職場:消防署
- 試験の程度:短大卒程度
救命救急士は若干名の採用も多いため、求人は常にチェックしておきましょう。
3.まとめ
資格免許職の仕事内容や職場、試験の程度についてご紹介してきました。
地方公務員の試験には、資格免許職以外にも、資格が必要な採用試験も存在します。あなたが何らかの資格を保有しているのであれば、こちらの「絞り込み検索」から内容を確認してみてください。